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あなたが慌てて余裕なく見られてしまうとしたら
たとえばコンペプレゼン。たとえば、オーディション。たとえば、セールス。選ばれるためのプレゼンテーションにおいて、余裕を感じさせることは大切です。
選ぶ側は、「あわあわ、私、テンパっています・・・」と見える人よりも、「どうぞ、私にまかせていてください。大船に乗ったつもりで」と感じさせてほしい。
しかし、ここ一番の重要なプレゼンであればあるほど、慌ててしまいがちなのも事実。
間のもつ威力を理解し、最大活用できるようになる
そんな状況を打破するためのデリバリーレッスン4。間についてです。
間とは何か?つまり、何も話さない沈黙の時間。あなたは、プレゼンのとき”間”をどれくらい意識していますか?
優れたプレゼンターは、間の力を理解しており、それを十分に活用します。一方、凡庸なプレゼンターは、むしろ間を怖がり、その威力を借りられません。
典型的な例でお話しします。「えー」とか「あのー」が多い話し手っていますよね。どうしてそうなってしまうのか?
頭の中で語る内容が整理できないのに、続きを話そうとするから「えー」しか出ないのです。
「えー」とか「あのー」が多すぎるとノイズになることは、誰でもわかる。だから、そうしたノイズを極力口にせず、次の言葉を話そうとする。
しかし、それはムリなんです。だって、まだ頭の中が整理されていないのだから。
「えー」と言ってしまうなら、いっそ黙ってしまえ
では、どうすれば良いか?
黙ってしまうことです。「えー」を間に変えることです。
「えー」で合間をつなぐよりも、沈黙でつないだほうが、よほど堂々と落ち着いて見えるのですから。
■間を空けるのが怖い!
いま、あなたは「えー」をなくす方法を知識として知りました。何てことはない、単に黙るというだけです。
しかし、思いのほか多くのプレゼンターは、この知識をプレゼンの現場で実践できない。
なぜか?間に恐怖を感じ、間を嫌うからです。
誰も話していない時間の居心地の悪さ。実際、多くの人が経験していること。あなたもその一人かもしれません。そう。話し手にとって、間は恐怖の対象なのです。
プレゼン本などで、「間は大切だからとりましょう」で止まっているものを目にします。
でも間の恐怖を理解し、乗り越えない限り、「間を取りながら話しましょう」とか「えーは間に変えましょう」だけ知っていても使えないのです。
間に限った話ではありませんが、プレゼンテーションは話し手の”心の状態”を如実に反映します。だから、プレゼンターとしての心づくりが、大切になってくるのです。
■沈黙を恐怖に感じない2つの方法
では、どうすればよいのでしょうか?本日は、2つのアプローチでお伝えします。
ひとつは「間を怖がるのは話し手だけで、聴き手にとっては大した話ではない」という事実を知ることです。
あなたは、人前で話すときに、沈黙に恐怖を感じたことはありますか? Yesだという方も多いでしょう。一方、話し手ではなく、聴き手の立場のときに、沈黙に居心地の悪さを感じたことはありますか?
多くの方は、聴き手のときに沈黙を意識したことすらないのではないでしょうか。そう。沈黙・間なんてそんなものです。
話し手が過度に意識しているだけで、聴き手にとっては注目すらしていない。むしろ、ゆったりと落ち着いて話しているように感じられるものです。
この事実を肌で感じるためには、練習で聴き手に話すときにわざと間を大きくしてみることです。
あえて大きな間をいくつか入れてみる。4秒くらいの間を所々いれて話す。そして、練習後に聴き手に聞いてみてください。「間が長すぎるのは気になりましたか?」と。
おそらく、聴き手は「え?全然」と答えるはずです。
■内容に自信がないと、沈黙に恐怖を感じる
もうひとつは”話す内容について、自身を持って話せるくらい理解・習熟する”です。これは根本的な話ではあるのですが、大切なことなので言わざるを得ません。
普段は間を取りながら堂々と話せる話し手が、なんだか急に慌てて間がとれなくなることがあります。その場合、多くは”自分にとってよく知らないこと”を話そうとしていることが多い。そりゃあ、まぁ、そうでしょう。
よくわかっていることを話すときと、そうでないときで同じペースのわけがありません。
その原因は2点。ひとつは、熟知していることならば頭の整理がなされているから。もうひとつは、自信をもって話せないというメンタルの状態が慌てさせるから。
“敗軍の将、兵を語らず”という言葉があります。大好きな言葉です。話し手に、そのテーマについて語るにふさわしい資格があるかと。
「間がとれない!焦ってしまう!」というときは、考えてみてください。
もしも、上記の質問の答えがNoだとしたら、今必要なのは”間を取る努力”ではないかもしれません。”間が自然ととれるくらいの自信をつけるため、リサーチと準備に時間を割く”ことが先決です。