from 野村尚義

スマホ18の約束日常のいたるところに、素晴らしいプレゼンテーションは眠っているものです。

テレビで紹介されていた「母から息子におしえる『iPhone18の約束』」もそのひとつ。

マサチューセッツ州の母親が、13歳の息子グレゴリーくんにiPhoneを買ってあげる。

そして、グレゴリーくんが箱を空けると”母から息子へのiPhone使用契約書”なるものが入っている。

もちろんこれは、Appleが入れたものではなく、母が息子のために書いたものなんですが、この使用契約書(18の約束)が、とても素晴らしいプレゼンテーションなんです。

全文掲載の英語版はこちら
全文掲載の日本語版はこちら

どう素晴らしいか?

私の解釈でいうならば、以前に紹介したアーカーのベネフィット3分類での「機能的・情緒的・自己表現的」の3つで意味を示しているところ。

ただの機能的な指示でなく、情緒的な意味をしめしたり、それによって得られるグレゴリーくんの自己実現について触れたプレゼンテーションになっているのです。
アーカーのベネフィット3分類はこちら

母から息子におしえる『iPhone18の約束』

18項目、全部が名プレゼンテーションなわけでもないので、特にステキなものだけ紹介します。

11.  Turn it off, silence it, put it away in public.  Especially in a restaurant, at the movies, or while speaking with another human being.  You are not a rude person; do not allow the iPhone to change that.

公共の場では、電源を切るか、マナーモードにしなさい。

特にレストランや映画館、またはほかの人と話している最中は気を付けて。

あなたは失礼なことをしない良い子です。どうか、iPhoneを持ったからといって変わらないで。

赤文字がポイント。

マナーモードがどうこうという部分は、普通の指示です(機能的)。

でもこれだけを言われても、息子のグレゴリーくんは「いちいちうるさいなぁ」と思うだけかもしれません。

赤文字部分は、行動の指示ではなく、「母として、息子にあってほしい姿」です(自己表現的)。

どちらが心にグッとくるでしょうか?

14.  Leave your phone home sometimes and feel safe and secure in that decision.  It is not alive or an extension of you.  Learn to live without it.  Be bigger and more powerful than FOMO – fear of missing out. 

ときどき携帯を家においていきなさい。

そして、その選択に自信を持ちなさい。

iPhoneは生き物でもないし、あなたの一部でもありません。

そんなものなくても、生活できることを知りなさい。情報に取り残されることを恐れるような小さい人間ではなく、器の大きな人間になりなさい。

機能的な指示としては、「携帯を家においていきなさい」の部分です。この言葉だけでは終わらせないわけですね。

「そんなものなくても、生活できることを知りなさい」という言葉は、”携帯がないことの不安感”を持たないように先回りしています。ここが情緒的な意味の部分。

加えて、「取り残されることを恐れない、器の大きな人間になりなさい」は、まさに自己表現的な部分ですが、この一文が「携帯にふりまわされること=器がちいさくダサイこと」というイメージにしてくれています。

まとめ

あなたも、子供に何か正しい行動を促すようなシーンはあるでしょうか?

そんなときは、ただ「○○やりなさい!」だけでなく、「そうしたら、△△な気持ちになれるよ」とか「それが□□な人間になるってことだよ」という情緒的・自己表現的なところにまで視野を広げてみてはいかがでしょう。
戦略的プレゼンテーションメールマガジン プレゼン勉強会prazy