from 野村尚義

■初対面で相手の自己紹介を聞いているだけでプロだと思われる方法

さて、本題です。

スーパー起業家の小川さんのブログで、インタラクティブプレゼンテーションのコツが紹介されています。

場面は、自己紹介のシーン。
あなたが飲食店コンサルタントをやっていたとして。

あなた:
お仕事は何をやってらっしゃるんですか?

相 手:
レストラン経営しています

ここで、

あなた:
あっ、私飲食店専門の経営コンサルタントやっているんですよ!今度一回ご説明しますね!いつがいいですか?

とやったら、アウト(笑)やりがちですけどね。

詳細は、小川さんのブログに譲るとして、会話だけ引用させてもらうと、

あなた:
今、広告って、どちらに出稿してらっしゃるんですか?

相 手:
食べ○グとぐる○び だけです。

あなた:
そうなんですね!結構広告費かさみそうですね…。
ところで、広告で来てくれたお客様って再来店してくれています?

相 手:
いや、実はね…

あなた:
あー、そうしたら、ずっと集客を続けないといけないのは大変そうですねぇ

この話、学べるところはとても大きい。さすがです。さすがとしか、言葉が出てこない。

■受け手の心理・感情を設計する

私はこの話、“受け手の心理・感情の設計”だと読みました。

大きく3つのステップ。

1.無風→小さな信頼
2.現状肯定→揺らぎ
3.安定→向上の期待

●1.無風→小さな信頼

これは、最初の質問で「お、その質問はふつう、なかなか出てこないぞ。こいつ、やるな」と思ってもらう。
小さな小さな信頼を得る。

上記の例でいえば、「今、広告って、どちらに出稿してらっしゃるんですか?」の部分。

普通の人は、いきなりこんなつっこんだ質問をしてこない。

だから「うん?その道の人かな?」と思うのです。

実は、この小さな信頼がないと、step2以降がほとんど機能しなくなるので、とても大事。

●2.現状肯定→揺らぎ

「結構広告費かさみそうですね…。ところで、広告で来てくれたお客様って再来店してくれています?」

の部分ですが、ここで相手の感情は揺さぶられるわけです。

 

たしかに広告費はかさんでいるかもしれない。再来店率に満足いっていないかもしれない。

しかし、事実としてビジネスはまわっているのです。

相手にとって、現状は理想ではないまでも日常。ずーっと痛みを感じて生きているわけではないわけです。

 

しかし、あらためて相手から「それ、きつそうですね。。」と言われると、急に痛みを感じる。

傷口をえぐられる感じです。

 

人間は、痛みを感じないと動かない。

現状肯定の相手は、何にも変わらないのです。

 

でも、思いませんか?

「いやぁ、初対面の人に、そんなこと言えない…」

それが言えるのは、言っていいのは、Step1とStep3があるからこそなのです。

●3.安定→向上の期待

現状肯定の間は、「今のままでも良い」という安定状態。変わる理由がないわけです。

でも、Step2で揺さぶられていますから、現状が安定状態では実はないと気付いてしまう。

もっと安定する状態を望むようになる。

 

そこで、目の前の相手に意識が向くのです。

「あれ?このひと、そこそこうまくいっている僕のビジネスを『きついっすね』とか

言うってことは、もっとすごい状況をつくれるということ?!」

期待がわくわけです。

その期待があるから、続きの話が聞きたくなる。
そして、実際に解決策を提示して救ってあげる。

■”情報の流れ”ではなく、”感情・心理の流れ”こそがストーリー

さて、今回の話、なぜ書いたのか?

プレゼンのトークフォーマットを”情報の流れ”だと思っている人が多いように感じられたからです。

でも、トークのフォーマットって、必ずしもそうではないのです。

 

情報の流れとは整理のこと。

結論から述べましょうとか、予告の言葉を先にとかがそれにあたります。

要は、理解しやすい順番。

 

しかし、トークフォーマットにはもう一つの役割がある。それが”受け手の感情・心理の流れ”です。

どういう順番で、感情を動かせば、新たな行動をとってくれるだろうか?

その視点のもとに設計されているのが、今回の小川さんの話だなと思いまして。

 

あなたのプレゼンも、感情・心理面から見直してみてはいかがでしょうか?
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