from 野村尚義

ストーリーがブランドに色を与え、味わいを深くする

私は普段、ウォーターマンというブランドのボールペンを使っています。

もともと、ある尊敬する経営者さんからむかし勧められたがきっかけです。きっかけは単にそれだけなのですが、使う中で色々と気になってきました。

ウォーターマンって、日本語で水男? なんでそんな名前なんだろう?」

まぁ想像通り、創業者の名前でした。ルイス・エドソン・ウォーターマン。そしてもう少し調べていると、面白いストーリーがあることに気付きました。以下、wikiよりです。

ニューヨークで保険外交員をしていたウォーターマンは、ある大口契約を取り交わす席で、万全を期して新品のペンを用意していた。>

ところがそのペンからインクが漏れ、重要な契約書を汚してしまう。

ウォーターマンが大急ぎで新しい契約書を持って来たときには既に、ライバル会社と契約を結んだ後だった。

この苦い経験が、ウォーターマンに毛細管現象を用いた万年筆を開発させたのである。

正直、このエピソードが本当なのかどうかはわかりません。というか、いささか怪しいでしょう。大急ぎで契約書持ってきたときにはライバルに奪われてるって(笑)

ストーリーがボールペンのスペックをベネフィットに変える

しかし、このストーリーを読むと色々な思いがよぎりませんか?「ウォーターマンは、単なるボールペンではなく、仕事をうまくいかせるためのペンなんだ!」とか、「このペンを使うことで、大切なお客様に気持ちよく契約してもらうことができるんだ」など。

更には、少し計算高いことを言うと「自分がこのペンを使う理由としてこのストーリーをお客様に語れば、お客様を思う気持ちをアピールしたり、こだわりを印象づけたりできるな」なんていうことも。

 書きやすい・インクが漏れないは、スペックです。昔ならともかく、今では当然のこと。100円ボールペンよりも高級感があるというのも、まだまだスペックレベルです。

ですが、顧客を思う気持ちが伝わるとか、仕事に対する姿勢がにじみ出すというのはベネフィットです。私たちがお金を出す理由として、スペックよりもベネフィットが大きい。単に書きやすいだけで数万円は出しません(笑)

 ベネフィットを伝えきるためのストーリーの存在

そして、そうしたベネフィットを感じさせるのが、冒頭のストーリーです。ベネフィットを直接「顧客を思う気持ちが伝わりますよ!」とアピールするといやらしい。それをストーリーを通じて受け取れると、心理バリアにはじかれにくいわけです。

 くり返しますがこのストーリー、真実かどうかはわかりません。でも、このストーリーによってウォーターマンというブランドに味わいが出ていると思いませんか?

戦略的プレゼンテーションメールマガジン プレゼン勉強会prazy